白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「怪我は治療してもらえたのか?」
「えー、まぁ、なんとか?」
「実の娘が怪我してきたのに治療しないとかって大丈夫なの、それ」
「いやぁ。なんせ、悪名高いダントレットですから?」

 私の言葉に心底二人はありえないと呟いていた。
 実の娘でも、未だにあの人のことなんて全部理解できないんだから、そんなもんよね。

「家に戻されてすぐに、君の元へ行こうと思ったんだ。だが……」
「止められましたよね?」
「ああ、そうだ……」

「それが普通の反応だと思いますよ。誰だってあの人に借りなど作りたくもないですし、近寄りたくもないでしょう」
「でも君は、そうじゃないだろう。確かにダントレットの娘だとしても、あの男とは違う」
「本当にそれよ。さすがに娘だからって、何でも同じにしないでもいいのに」

 私のために怒る二人を見て、私は思わず吹き出す。
 一度それは声になると、ただどこまでも嬉しくて一人笑った。

「もぅ、こっちは怒っているのに、何笑ってるの?」

 やや不服そうなアンリエッタ。
 だけど、嬉しいものは嬉しいんだもの。

「いや、なんか幸せだなって思って」
「幸せ?」
「ええ。今まで私のために怒ってくれた人もいなかったですし。こんなにも温かな気持ちになったこともない。だから幸せだなって思って」

 あの日一度死んで、人生をやり直す決意をした。
 それはある意味復讐だった。

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