白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「よく言うわ」
「仕方ないだろう。手紙でも伝えた様に、こっちは今大忙しなんだ」

 ヒューズはそう言いながら、一番手前の席の椅子を引いて見せる。
 私は一度辺りを見回したあと、彼が指定する席に座った。

 男たちはヒューズが来たせいもあってか、私を見ることはない。
 だけどそれ以外のかすかな視線が、至る所から集まっている気がする。

 敵地までとは言わないけど、歓迎はされるわけもないことぐらい承知の上だ。
 しかも今、彼が忙しくしている原因も知っているから尚更ね。

「そんな忙しいあなたの元へ、わざわざ大切なものを届けに来てあげたのよ。泣いて感謝されてもいいところなんだけど?」

 私はそう言いながら、持っていた袋をテーブルの上に出す。
 
「ん? なんだそれ」

 袋に興味を示し、手を出そうとした彼を制止するために、私は自分の元へ袋を引き寄せた。
 すると焦らされたヒューズの顔は曇り、眉間にシワが寄る。

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