白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「離婚した先のことまで考えていただかなくとも結構です。書類はこちらですでに準備させていただいております」

 私は部屋から持参していた、紙をダミアンに手渡した。
 二人はおそらく初めて見るであろう離婚届の書類を、食い入るように見る。

 書かれていることはとてもシンプルだ。
 本来ならばいろいろ文言を追加できると説明を受けたのだが、私はあえて二つのことしか書いては貰わなかった。

 一つ目は白い結婚のため離婚に応じるということ。
 二つ目は財産の分与はないということ。

 そう、たったそれだけ。

「よくこんなものを用意出来たものだな」

 すでに私のサインは終わっている。
 あとはダミアンにサインをもらってから、証人であるあの二人のサインをもらうだけ。

「よくもこんな勝手なことが出来たものだな」
「まぁ、いいではないの。あの持参金はみんなうちのものになって、こんな厄介な嫁をとっとと追い出せるのだから」
「それはそうだが……」

 ダミアンの考えは分かる。
 私になど未練はないけど、今まだこの男爵家が不安定な状態で商会というコネを手放したくないのよね。
 でもそれも、もうこの先関係なくなるのよ。

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