白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「許されないもなにも、契約書にサインをしたのは他でもないダミアンですよ? ちゃんと読まなかったこの人がいけないのですね」
「ふざけるな! ふざけるな!」

 どれだけ叫んだところで、この状況はもう覆せない。
 契約書を破り捨てたとしても、もう一通は父がしっかりと保管しているのだから。

「状況がご理解出来ました?」
「こんなこと……こんなこと……」

 ダミアンは書類を手にしたまま、膝から崩れ落ちた。
 やっと今自分の置かれた状況が分かったのね。
 でも、もう遅いのよ。
 全部終わってしまった後なんですもの。

「だが、結納金は……」
「結納金はダミアン様個人にではなく、この男爵家に入るようになっていたのを知らなかったんですか? 元々その方が支払いにいいとかこじつけられていたはずですけど」
「ああ……」

 ダミアンは思い出したように、頭を抱える。
 そう、結納金すらこの屋敷の物。
 そして私がこの男爵家を継いだ以上は、彼らには何も残りはしない。

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