白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。

10 一からやり直し

 それに元々、父の下でこき使われて生きてきた私には働くことは苦ではない。

 前回の時も思ったのだけど、相当な額の持参金があったはずなのに、最後まで使用人を増やすことはしなかった。

 私が一人増えたところで、この家が最後まで綺麗になることもなかったし。

 そう思いながらも、私はそっと屋敷の中を見渡す。
 元々赤だったはずの絨毯(じゅうたん)ははげて変色し、階段なども壊れかけたまま。

 高いシャンデリアや、窓枠にはあり得ない量の綿ほこりも溜まっており、何年掃除をしていないのだろうか。
 
 なんかこれだけは少し嫌ね。
 前回頑張ったのに、ふり出しに戻るって感じ。

 またあの掃除が一から始まるのは、うんざりするわ。
 本当にこの家、汚すぎるんだもの。

「よく言ったわダミアン。元々貴族でもなんでもないのだから、あなたは身を粉にしてこの家のために働けばいいのよ」
「……はい、お義母様」

「貴族でもない娘がうちの嫁になるなんて。ああ、汚らわしい。この男爵家、末代までの恥だわ!」
「……」

 はいはい。勝手に言っていて下さい。
 そのうちそんなことすら言えないようにしてやるんだから。

 この家も、あの商会も。
 全部まるっと、手に入れて見せる。

 それがあの時死んで、やり直す時に誓ったことよ。
 奪われた人生を、今度こそ自分の手で。
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