白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「ああ、そうそう。中庭を抜けた奥に離れがある。そこが僕の執務室となっているから、そこは何もしなくていいからね」
「わかりました」

 前回は言いなりになって近づかなかったけど、おそらくこの人の秘密はそこにあるのよね。

 だいたい自分で怪しいって言っちゃているようなものだし。

 夫には前回、私と結婚するよりも前から付き合っていた女性がいた。
 そう、貴族令嬢が。

 最後まで彼女との接点はなかったけど、夫は私が元平民なのをいいことに、彼女を貴族の夜会などに連れまわしていたのだ。

 そして父が無理やり私を嫁がせたことを知っている貴族たちはどこまでも夫に同情的で、誰一人本来の妻である私のことを気にする者はいなかった。

 死ぬ間際に、妻の役目も出来ないでと父が怒鳴っていたのは、そのせい。
 ダミアンは基本的には仕事と称して、離れから出てこなかった。

 唯一こちらの母屋に来るのは、朝の食事の時だけ。
 私たち三人が唯一顔を合わせる時間だ。

 一回目の時は、それでも家のために尽くせば、夫がこちらを見てくれるんじゃないかって。

 ただバカみたいに頑張っていたっけ。
 ホント、無駄過ぎたわ。ただ疲れただけだもの。
 
 今回は絶対に同じような道は通らない。
 まずは隙を見て離れに忍び込み、この男爵家のお金の流れをつかまないとね。

 あれだけの持参金が三年も経たずにどこへ消えたのか。

 愛人のせいだとは思うけど、でもお金は後から重要になるもの。
 ちゃんと押さえなくちゃ。
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