白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。

19 若きツバメ

 屋敷の一階一番奥、日当たりのよい部屋が代々夫人となる人の部屋だった。

 だから本来は、私がここに嫁入りした時点で私の部屋になるはずだったところ。
 そこに(いま)だに、元夫人である義母が居座っているというわけだ。

「アンリエッタ様、こっちです! こっち、こっち!」

 義母の部屋の隣のドアを開け、一人の侍女が私たちを手招きした。
 私たちは小さくうなずくと、そのまま部屋になだれ込む。

 ずっと使用していないと思われるこの部屋はややホコリ臭く、家具には白い布がかけられていた。
 
 そして掃除をするために開けた窓から、隣の部屋の話し声がはっきりと聞こえてくる。
 どうやら向こうの部屋も窓を開けているみたいね。

「ねぇ、もう帰ってしまうのぉ?」

 んんん? この猫なで声は誰⁉

 思わず吹き出しそうになる自分の口を必死に押さえた。

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