吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 パキ、パキ、と所々で木の枝が割れるような音も聞こえて、野うさぎか何かの仕業だろうと考えた。腕時計の針を確認し、また立ち上がる。

 いつ女人谷へ向かおうかと、今日まで散々と悩んできた。しかしながら、あっさりと深緋が予定していた通りに事は運んだ。最初から白翔の合宿日程と合わせれば良かったのだ。

 バスケ部のメンバーは、教師が手配した観光バスで現地へ行くので、電車で向かう深緋と交通ルートが被る心配もない。

 ザッ、ザッ、と足に力を入れて歩き、手にした地図を広げた。

「地図通りだと……そろそろ着くはずだけど」

 一度立ち止まってから前方を確認する。すると何百メートルか先に、うっすらと建物のような影が見えた。あれかもしれない。気がはやり、また歩みを進めた。

 目の前に現れたのは高くそびえる灰色の塀。

「……ここ、だよね?」

 ブログの文章にあったように、強度のある塀がそびえ建っていて、中がどうなっているのか分からない。

 時刻は午後十二時半を数分過ぎたところだ。中で一時間を費やしたとしても、夕方の四時までには下山できる。

 明日の朝、七時二十分が吸血のタイムリミットだから、それまでに水筒の血を飲もう。

「……よし」
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