吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 深緋は俯き、仕方なく首を縦に振った。人間になるための儀式に必要となる物——谷の村長(むらおさ)から聞いた言葉を思い出し、順に話すことにした。

「なるほど。ローリエと、あと二種類の血はいいとして……問題は男吸血鬼(ドラキュラ)の血ってわけか。それも深緋の血で作れるけど、背負わせるデメリットは相当だねぇ」

 うん、と頷き嘆息がもれる。

「自分の願いのために、だれかを不幸にするとか……まだ考えられなくて。大体、だれを選べばいいのかもわからない」
「そうだよな」

 落ち込む深緋に同調し、白翔も肩を落とした。皆が皆、手詰まりなのを感じていた。

「深緋」

 祖母がいつになく真剣な声を出した。

「どうしてもってときはアタシが力になるから、諦めるんじゃないよ?」
「……え」
「世のため人のためにならない悪人ってのは、どの世界にもいるもんだ。アタシがその人間を選んで、作ることも可能だから」
「リリーさん」

 祖母の力強い瞳を見つめ、僅かに視界が揺れるのを感じた。

 ***
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