吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 あっという間に壁際へ追い込まれ、無意識に身を固くした。壁を背にした深緋へ迫るように、織田は両腕をつき、深緋のすぐ耳元で囁いた。

「たださぁ、俺考えたんだよねぇ」
「か、考えた……?」

 バクバクと心音が高鳴る。思い切り力を出して、今すぐ織田を突き飛ばすべきか、助けてと悲鳴を上げるべきか。判断がつかない。 

「そう。もはや人間でもないドラキュラの俺が(・・・・・・・・)、これ以上の純血(・・)を増やせばどうなるんだろうって」
「っへ……」

 声が掠れた。目を上げて瞬きをした瞬間、首筋にチリッとした痛みが襲いかかる。

 不意に視界が薄く細くなった。目の奥にチカチカとした閃光を感じて、意識はあっという間に闇に飲まれた。

 ***
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