吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 そうだ。いくら絵本がフィクションだと言い張っても、唐突に老いた写真を撮られたのだから意味はない。織田は絵本(あれ)を読むだけで良かった。絵本の内容を、ただの絵本と受け取らない限り、女吸血鬼(こちら)の内情が筒抜けとなったのだ。

「だとしても、ズルイよねぇ」と横目で睨み、織田が息を吐く。若干の苛立ちが窺える。

「不老長寿って。コレ、俺にはない作用なんじゃない?」

 深緋は縮こまったまま、小さく顎を引く。

「ドラキュラは短命で不老ではないと聞きました」
聞いた(・・・)? リリーさん……いや、さっき言った女人谷って場所か」

 気づけば言いたくないと思っていた殆どの情報を、織田に明かしている。

「そこなんだけどさぁ」と織田が言った矢先、深緋の鞄から振動音がした。織田に、どうぞ、と手の平を向けられ、鞄からスマホを出す。液晶画面には“リリーさん”の文字が浮かんでいた。

 どうしたんだろう。

 何故か嫌な胸騒ぎがした。

 電話なんて滅多にかかってこないのに……。

 深緋はスマホを見つめたままで狼狽えた。

「出たら?」と織田に促される。白翔を織田と二人きりにするのも嫌で、そのまま回線を繋いだ。

「もしもし?」
『あぁ、深緋っ! 今どこ?』
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