吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
「儀式を受けて人間になったら、ハクトと結婚して家族になればいい。やがては子を産んで母親となって、守り守られながら生きていくんだ。深緋にはそういう幸せが待ってるだろう?」
「……っでも」
「今までちゃんと言ってきたことは無かったけど。これでもあんたを娘のように愛してきたんだよ。深緋の幸せを、アタシも美郷も。遠くから祈ってる」

 (ひざまず)いた深緋の頬を撫で、祖母が優しく笑う。その目から一筋の涙が溢れ落ちた。

「ハクト」

 祖母が顔を上げ、深緋のそばに立つ白翔を見据えた。

「深緋のこと、頼んだよ? 不幸にしたら許さないからね?」
「っ、はい!」

 グスッと(はな)を啜る。白翔も既に泣き顔だった。

「深緋の願いをちゃんと叶えて、二人で幸せになりますっ」

 祖母は目を細めて微笑んだ。「不束(ふつつか)な孫ですが、よろしくお願いします」と言って、深々と頭を下げている。

 顔を上げた祖母が白翔に何か目配せをすると、「深緋」と名前を呼ばれる。しゃがんだままで祖母に抱き付いていた腕を白翔に解かれて「帰ろう」と促された。

「……っいや」

 言葉で説得するとか、そういうこともなく、無理やり白翔に腕を引かれて深緋は祖母から遠ざかっていく。

 嫌だ、離れたくない、なんでサヨナラしなきゃいけないの?

 そうは思うものの、祖母の意思は頑なだった。
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