吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
「ごめんね、深緋。孫のあんたと一緒に生きたくないってわけじゃない。けどアタシは……このまま何もしないでここに居たいんだ」

 諦めでもなんでもない、そこに祖母の意思をちゃんと感じ取れるのに、深緋は眉を寄せて不満を口にした。

「なんで? このまま時間が経ったら、また老けちゃうんだよ? リリーさん、言ってたよね? 歳を取るのは嫌だって」

「そうだねぇ」と頷き、彼女は母親らしい顔つきで微笑んでいた。

「それでもね、ここに居たいんだよ深緋。ここに居たら……英が迎えに来てくれそうな気がするからさ」

 英くんが……。

「ここは英と初めて話した場所なんだ。そう見当付けたからあんたたちもこんな所まで来たんだろう?」

 深緋は涙目で静かに頷いた。

 すぐそばで鳩が鳴き、落ちたパンくずを(ついば)んでいる。人に慣れているのか、地面を突くのに一生懸命だ。

「アタシの寿命が何歳かはわからないけど。あと五日ぐらいであっちへ逝けると思うんだ。流石に百歳こえてまで、この体がもつとは思えないしね」
「……そんなっ。嫌だよ、リリーさんっ! リリーさんが居なくなったら私」
「深緋にはハクトが居るだろう?」

 穏やかな視線で諭されて、深緋はグッと口を噤んだ。
< 236 / 339 >

この作品をシェア

pagetop