吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 ということは、またあのドクターヘリを呼んで? 無言で考えを巡らせていると、隣りを歩く白翔がキョトンとして深緋の顔を覗き込む。事情通と察して眉を潜めている。そんな彼に苦笑いを浮かべた。

 この際だからと深緋はカムイさんに気になっていたことを尋ねた。

「あの。ドラキュラが体調を崩したのは、やっぱりあのお茶が原因なんですよね? お茶にどんな細工を?」

 問いに反応してカムイさんが目を細めた。僅かに口角を上げて、稀に見る笑みを浮かべる。

「死んだばかりの、極めて新鮮なヤギの血を一滴混ぜた」
「や、ヤギの血、ですか?」
「そうだ。お前の男の……ハクトとか言ったか?」
「……あっ、はい」

 急に名指しされて白翔の声が若干上擦る。

「ハクトの茶も全く同じものだ」
「……え」

 白翔が口元に手を当て、「俺ヤギの血飲んだの?」と不安そうに呟く。

「大丈夫だ。死にたての新鮮な血液だからな、人間に害はない。だが、ドラキュラには効果覿面(てきめん)だ」
「それはあの、ヤギの血が弱点だということですか?」
「……いや、そうではない。我もここ数日、書物をひっくり返して知ったことだが。ドラキュラは人間にしろ動物にしろ、死んだ直後から一時間の血液が毒となるそうだ。ただ鼻が利くだろうから、中でも格別に香りの良いヤギの血を選んだ」
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