吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 白翔の胸を押しやり、深緋はカムイさんに駆け寄った。彼女たちは一様に手を動かし、祭壇の上の小道具を片付けている。

「あの、ありがとうございます! 私も手伝います」

 深夜零時を二十分ほど過ぎた時間だろうが、不思議と眠気は感じない。脳からアドレナリンが分泌され興奮状態にあった。

 本当に人間になれた! 願いが叶った!

 もう毎日の吸血は必要ないし、いきなり十歳老けることもない。これからは白翔と一緒に、一年一年、歳を取っていけるのだ。

 喜びはひとしおで、細胞のひとつひとつが歓喜している。

 深緋の動きに倣い、白翔も片付けに参加した。祭壇に使ったテーブルを折り畳み、窪地の周りに立てた灯籠の火を消した。

 小道具以外は置いたままでいいと言われ、三人の女性に付いて深緋と白翔も村本館へと歩き出す。

「ミアカたちは明朝谷を下るだろう? 今夜はあの部屋に泊まっていくといい」
「はい。ありがとうございます」

 応接室を出る前の様子を思い出し、「それで、あの」と言葉を次いだ。カムイさんの切れ長の瞳がこちらへ飛んでくる。

「ドラキュラの件なんですけど。もの凄く体調が悪そうで、あのまま寝かせておいても大丈夫なんでしょうか?」
「そうだな、まぁ朝には回復が見込めるだろうが、そうでなければまた病院へと運ぶ」
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