吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 背中からじわりと滲んだ大切な血が、少しずつ深緋の体温を奪っていく。

「っく……!」

 許さない。
 刺された事による怒りで、頭が沸騰しそうだ。口の中でモゾモゾと歯が疼いた。男に気づかれぬよう、深緋は顔を俯けた。

「本当はさぁ、コンビニに向かった女の子の行確をしてたんだけど。良いところで邪魔してくれたから。これはそのお仕置き(・・・・)ってことで」

 男が深緋に近づき、アイスピックを握り直した。

「大丈夫だよ。ミアカちゃんは十代だけど、特例で仲間に入れてあげるか、……ら?」

 そこで男の言葉が途切れた。掲げたアイスピックを振り下ろすことも忘れ、不自然に固まっている。

 深緋がこれまでに経験した、体の異変が訪れたせいだ。

 自身の二の腕や腰周りが細くなり、バストが張るのを感じる。下肢が僅かに伸びて、身長が高くなる。

 ああ、間に合わなかったのか、とがっかりした気持ちで嘆息がもれた。

昨夜のタイムリミットを過ぎて、ついに上限姿から十年老いてしまった。

「……っへ? なん、で??」

 足に力を入れて、深緋が立ち上がる。男はおろおろと後退りをした。
 それまで俯けていた顔を上げると、深緋の両目が(あか)く染まっていた。血の匂いに感化され、意志とは無関係に牙が生えたため、瞳の色が変化している。
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