吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 異変に気付いたミカとモモコが、深緋を見てキョトンとする。

「……ううん、何でもない」

 彼女たちを見て、平静を装った。首を横に振り、体操服と体育館シューズをひとつの手提げにまとめた。

 どうしよう。見つけなきゃいけないのに、何処から探せば良いのか見当もつかない。あれはお母さんの形見なのに……。

「そう言えばさぁ、さっき体育館倉庫の中で誰かのペンダント見たけど。落とし物入れに届けた方が良いのかな〜?」
「ハハッ、別に良いんじゃん? どうでも」
「だよね〜。てか、学校にそんなもの持ってくるなだし」

 わざとらしく嫌な笑い声を上げ、深緋の目の前を尾之上グループが通り過ぎていく。

 なるほど。盗まれたわけか。事の次第を把握し、嘆息がもれた。

 体育館倉庫に有ると言うのならそれでいい。もしも嘘だとして見つからなかった場合は、直接本人に確かめるまでだ。

「ごめん。私、体育館に忘れ物したから……ちょっと取りに行くね?」
「え、一緒に行こうか?」

 本気で心配する二人だが、正直巻き込みたくない。ちゃんと有るかどうかも分からない上に、すぐに見つからなければ次の授業に遅れてしまう。

 深緋は「ううん」と言って笑みを浮かべた。

「あとで戻るから、先に行ってて?」

 ミカとモモコはどこかがっかりした様子で息をつくが。「分かった」と言って踵を返し、去って行った。
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