吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 今のところ連続殺人犯が捕まったという報道はされていないから、織田はいまだに野放しだ。

 アイツ……やっぱり警察が来る前に逃げたんだ。

 深緋が前を向くと同時に、後方から男子の囁き声が聞こえた。

「……な、朝比奈。いま俺のこと見てなかった?」
「えぇ? そうかぁ?」
「振り返ってこっち見てたって。なんだろ?」

 特別、彼らを見ていたわけではないので、少し居た堪れなくなる。

 深緋は頬杖をつき、ため息まじりにやり過ごすことにした。

「朝比奈は。でもアレだろ……白翔」

 その名前にドキッと心臓が跳ね上がった。

「シッ……! 本人来たっ」

 え。

「深緋」

 すぐそばに立つ白翔を思わず見上げてしまう。いつもならいちいち目を合わせることもないのに、全くもって自分らしくない。

「なに?」

 素っ気なく答え、深緋は目を逸らした。

「明日から夏休みじゃん? それでちょっと。話、あるんだけど」

 それは今じゃなきゃだめなんだろうか? 出来れば教室では話し掛けないで欲しい。

「お〜い、みんな席つけよー! ホームルーム始めるぞーっ!」

 丁度良いタイミングで担任教師が現れる。教壇に立つ彼を見て、白翔は何も言わずそのまま自分の席へと歩いて行った。思わず胸を撫で下ろす。
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