吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 自分の席に座りながら耳をそば立て、深緋は眉をひそめた。

 シノヅカ? 犯人は織田(おりた)じゃないの? 

 そう考えたところでハッとする。違う、と即座に否定した。

 深緋があの夜会った織田将吾は連続殺人犯だ。逮捕された(くだん)の通り魔と同じく、織田もアイスピックを持ってはいたけれど、犯行内容はまるで別物。

 机上で両手を組み、思わず眉間にシワが寄る。

 そもそも、あの男は何故アイスピックを持ち歩いていたのだろう。深緋を刺したあの夜、織田はこう言っていた。

 ——「本当はさぁ、コンビニに向かった女の子の行確をしてたんだけど」

 行確。つまりは行動確認。服装も特に怪しさのない普段着だったし、単純に女性を尾行して生活パターンを探っていただけ。だとすれば、犯行は後日と決めていた可能性も……。

 じゃあアイスピックは?

 織田がどんな方法で女性を誘って殺害しているのかは分からない。でも少なくとも、アイスピックがこの辺りに出没する通り魔の凶器、というのは知っていたんじゃないか?

 深緋は振り返り、後方のロッカー付近でやいやいと駄弁る男子たちを、見るとはなしに見つめた。

 通り魔が使っていた凶器だから、織田はそれを真似した。おそらくはそうだろう。
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