Dearest My Lady
ベースにはきめ細かなシルクオーガンジーと上質なサテンが幾層にも重ねられ、胸元から腰にかけてはすっきりと、そこから裾へと大きく広がるプリンセスラインを描いている。
ふわりと空気を含むスカートは歩みを進めるたびに柔らかく揺れ、背後へと続くロングトレーンには極細の糸で施された控えめな刺繍が光を受けて穏やかな輝きを添える。
華美に飾ることなく、素材とシルエットそのものが美しさを語るドレス。そのすべてが、紬の透明感と気品を最大限に引き出すために用意されたものだった。
紬のドレスと同じ生地で仕立てたタキシード姿の央は、その姿を視界に捉えた瞬間、完全に言葉を失った。
視線がひとときも離れず、瞬きすら忘れたようにただ紬を見つめている。耳まで赤く染まり、喉が詰まったように口を開いては閉じるその様子は、初めて見るほどはっきりと動揺していた。
「……なっちゃん?」
名前を呼ばれて、央はようやく我に返ったように肩を揺らす。
「ご、ごめん……その……」
視線を逸らそうとして、けれど結局逸らしきれず、少し泳がせたあと、また紬を見る。
「……綺麗すぎて、どうしていいかわからなくて」
飾り気のない、ありのままの言葉。冗談も余裕もなく、胸に溢れた感情がそのまま零れ落ちたような声だった。