この恋を執着愛と呼んでしまえば。
想代、と心の中で彼女の名前を呼ぶ。

その行動すら許されるのか分からない。



「で、護。次はどうやって想代に話しかけるの?」



「そこまでは関係ないだろ」



俺の返答を聞いても、コイツは表情ひとつ変えずに「了解」とだけ涼しい顔で言い放った。

俺は苛立ったまま、「報告は終えたから」とだけ言って社長室を出る。

社長室から出て扉を閉めた瞬間に俺は顔を両手で押さえながらうずくまった。



「想代、ごめん。でも本当にアイツが駄目だったら、その時は……」



その言葉を言い切る資格すら自分にはないのだと気づいて、俺はすぐに言葉を止めた。
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