この恋を執着愛と呼んでしまえば。
一章

始まり

「想代。想代……」

誰かが眠っている私の名前を呼んでいる。

しかし、その声に聞き覚えはない。

目を開けば一番に視界に入ってくるのは、自分のパソコン。

つまりここは会社。

ああ、残業していてそのまま眠ってしまったのか。

あれ? でも、ならばほとんどの人が私のことを「永山(ながやま)さん」と呼ぶはず。

じゃあ、誰の声?

後ろを振り返れば、そこに立っていたのは見たこともない男性だった。


「あ、想代。やっと起きた」


どれだけ顔が整っている男性でも、身長が高くてスタイルが良くても、この状況が怖くない人間などいるのだろうか。
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