この恋を執着愛と呼んでしまえば。
それでも、護くんのことは覚えていたので私は警戒心を解くことにした。

「まも……」

私は護くんと呼ぼうとしたが、もう社会人で会社の関係者かも知れないので「牧田さん」と呼ぼうと言葉を止める。

しかし、そのことに勘づいた相手はそれを許さなかった。


「護くんって呼んで。俺だって想代って呼ぶし」


護くんってこんなに強引な男の子だっけ?

寝ぼけた頭で小学校時代の護くんを思い出す。

……まぁ確かに強引な所もあった気がするし、どう考えても相手の顔は護くんの面影がある。

私は相手の要望を受け入れることにした。

「護くん、久しぶり。びっくりしたけど……この会社に転職してきたの?」

「そう。つい昨日」

「そうなんだ。どこの部署?」

「俺は営業」

営業部ということは一階の部署のはず。

私のいる商品開発部は四階。
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