妖精渉る夕星に〜真摯な愛を秘めた外科医は、再会した絵本作家を逃さない〜
手紙を開けてみると、季節の挨拶に続き、今回読み聞かせた五歳の男の子について詳しく書かれている。
「今回はどんな子ですか?」
「兄弟の中間子の男の子だそうです。兄弟喧嘩をしている時に、私の絵本を読み聞かせてくれたみたいです」
「あぁ、確かに。一冊目に書かれたのって、仲直りをするまで、少しずつ距離を詰めていくっていう内容でしたもんね。その子、仲直りできたんですか?」
「えぇ、その後に絵本も買ってくれたって書いてあります。嬉しいですね」
一冊目の作品を書いたのは大学生の時。友だちと喧嘩をした妹の真凛に、仲直りの仕方を提案するために書いたものだった。それを見た母から、コンテストに出してみたらどうかと提案をされたのがきっかけで応募したところ、そのコンテストで大賞を受賞し、花梨は絵本作家としてデビューすることになったのだ。
「それにしてもテディさん、毎月だなんて本当にマメですよねぇ。相当先生の作品を気に入ってくれているとしか思えません」
「三作品しかないのに……でも次も書きたいなぁという原動力になるパワーは、確実にテディさんからいただいている気がします。だってこうして目に見える形で手紙を送ってくださるの、テディさんくらいですから」
すると伊藤はハッとした顔になり、デスクのライトに貼ってあった付箋に手を伸ばし、そのうちの一枚を剥がして花梨に手渡した。
「読み聞かせで思い出したんですが、先生に是非子どもたちへの読み聞かせをしてほしいって依頼が来ているんです。普段顔出しもほとんどしないので、一応先生に確認をしますとお伝えしておきました」
「私に、ですか?」
「はい。第一総合病院の子供病棟らしいです。先生の大ファンの職員がいるって言ってました。どうしましょうか?」
自分のファンの人がいると聞くだけで嬉しくなる。
「是非伺いたいです」
「わかりました。では担当者の方に伝えておきますね。決まり次第ご連絡します」
「はい、お願いします」
それからすぐに打ち合わせが始まったが、花梨の中では自分のファンだという職員の方への感謝の気持ちが膨らんでいた。
「今回はどんな子ですか?」
「兄弟の中間子の男の子だそうです。兄弟喧嘩をしている時に、私の絵本を読み聞かせてくれたみたいです」
「あぁ、確かに。一冊目に書かれたのって、仲直りをするまで、少しずつ距離を詰めていくっていう内容でしたもんね。その子、仲直りできたんですか?」
「えぇ、その後に絵本も買ってくれたって書いてあります。嬉しいですね」
一冊目の作品を書いたのは大学生の時。友だちと喧嘩をした妹の真凛に、仲直りの仕方を提案するために書いたものだった。それを見た母から、コンテストに出してみたらどうかと提案をされたのがきっかけで応募したところ、そのコンテストで大賞を受賞し、花梨は絵本作家としてデビューすることになったのだ。
「それにしてもテディさん、毎月だなんて本当にマメですよねぇ。相当先生の作品を気に入ってくれているとしか思えません」
「三作品しかないのに……でも次も書きたいなぁという原動力になるパワーは、確実にテディさんからいただいている気がします。だってこうして目に見える形で手紙を送ってくださるの、テディさんくらいですから」
すると伊藤はハッとした顔になり、デスクのライトに貼ってあった付箋に手を伸ばし、そのうちの一枚を剥がして花梨に手渡した。
「読み聞かせで思い出したんですが、先生に是非子どもたちへの読み聞かせをしてほしいって依頼が来ているんです。普段顔出しもほとんどしないので、一応先生に確認をしますとお伝えしておきました」
「私に、ですか?」
「はい。第一総合病院の子供病棟らしいです。先生の大ファンの職員がいるって言ってました。どうしましょうか?」
自分のファンの人がいると聞くだけで嬉しくなる。
「是非伺いたいです」
「わかりました。では担当者の方に伝えておきますね。決まり次第ご連絡します」
「はい、お願いします」
それからすぐに打ち合わせが始まったが、花梨の中では自分のファンだという職員の方への感謝の気持ちが膨らんでいた。