妖精渉る夕星に〜真摯な愛を秘めた外科医は、再会した絵本作家を逃さない〜
「すごいね……及川先生の想いはずっと続いていたんだ」
「そうですね。まさか俺の中にまでこんなに根付いているとは思いませんでしたよ。とはいえ先生はお二人の関係にずっとヤキモキしてましたけどね」
「ヤキモキ?」
「あんなに両思いなのがダダ漏れなのに、どうしてくっつかないんだろうって、いつもぼやいてましたよ」
「それって、俺が打ち明ける前から知ってたってこと?」
「もちろん。だから北斗先輩を家に呼んで、山之内先輩の話をたっぷり聞かせてたんでしょ?」
「だってあれは卒業してからの──」
「先生はお二人が在学中からわかってましたよ。『年の功か、わかっちゃうんだよ』って言いながらお茶を啜ってましたから」
「し、知らなかった……」
花梨の隣で項垂れる北斗を見ながら、都築は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。その様子から、二人が互いに信頼し合っている関係性が窺えた。
「きっと今頃、やっと二人の想いが繋がったとほっと胸を撫で下ろしているんじゃないかな」
「そうかもしれないな……」
まるで及川先生を挟んで会話しているみたい──二人の間に先生の姿が見えたような気がした花梨は、胸が熱くなるのを感じる。もっと早ければ、自分もこの中に入っていたかもしれないと思うと少し切なくなった。
「じゃあ俺は職員室に戻ります。何かあれば連絡ください」
都築はドアの方に歩いて行くと、くるりと回転してから北斗をじっと見据えた。
「わかった。ありがとう」
「ここは部室ですからね。くれぐれも変な行動はしないようにお願いしますよ」
都築はそう言い残すと、部室を後にした。
部室に二人きりになり、都築の前では少しふざけた様子だった北斗が、優しく微笑みながら花梨を両腕で包み込んだ。
「変な行動ってなんのこと?」
「……俺が我慢出来なくなって、ここでオオカミにならないようにってことかな?」
北斗が言うと、花梨はハッとして顔を真っ赤に染めた。想像しただけで恥ずかしくなる。そして話題を変えるかのように絵本を指差した。
「そうですね。まさか俺の中にまでこんなに根付いているとは思いませんでしたよ。とはいえ先生はお二人の関係にずっとヤキモキしてましたけどね」
「ヤキモキ?」
「あんなに両思いなのがダダ漏れなのに、どうしてくっつかないんだろうって、いつもぼやいてましたよ」
「それって、俺が打ち明ける前から知ってたってこと?」
「もちろん。だから北斗先輩を家に呼んで、山之内先輩の話をたっぷり聞かせてたんでしょ?」
「だってあれは卒業してからの──」
「先生はお二人が在学中からわかってましたよ。『年の功か、わかっちゃうんだよ』って言いながらお茶を啜ってましたから」
「し、知らなかった……」
花梨の隣で項垂れる北斗を見ながら、都築は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。その様子から、二人が互いに信頼し合っている関係性が窺えた。
「きっと今頃、やっと二人の想いが繋がったとほっと胸を撫で下ろしているんじゃないかな」
「そうかもしれないな……」
まるで及川先生を挟んで会話しているみたい──二人の間に先生の姿が見えたような気がした花梨は、胸が熱くなるのを感じる。もっと早ければ、自分もこの中に入っていたかもしれないと思うと少し切なくなった。
「じゃあ俺は職員室に戻ります。何かあれば連絡ください」
都築はドアの方に歩いて行くと、くるりと回転してから北斗をじっと見据えた。
「わかった。ありがとう」
「ここは部室ですからね。くれぐれも変な行動はしないようにお願いしますよ」
都築はそう言い残すと、部室を後にした。
部室に二人きりになり、都築の前では少しふざけた様子だった北斗が、優しく微笑みながら花梨を両腕で包み込んだ。
「変な行動ってなんのこと?」
「……俺が我慢出来なくなって、ここでオオカミにならないようにってことかな?」
北斗が言うと、花梨はハッとして顔を真っ赤に染めた。想像しただけで恥ずかしくなる。そして話題を変えるかのように絵本を指差した。