あなたの1番になりたい。
その時だった。
ガラリ、と保健室の扉が開く。

「永原、大丈夫か?」

聞き慣れた声に振り返ると、入口には体操服姿の結城先輩が立っていた。

この友人Aさんは、永原って名前なんだ。


「おー、結城」

永原先輩が怪我をしていない方の手を軽く上げる。

「見ての通り生きてる」

「そういう意味じゃない」

呆れたように返しながら、結城先輩は保健室の中へ入ってきた。

そして私と永原先輩の間にある消毒セットや使い終わったアルコール綿に視線を向ける。

「結構派手に転んだな」

「元サッカー部の面目丸潰れです」

「自業自得だろ」

「冷たっ」

二人のやり取りに笑みが漏れる。

すると永原先輩が、

「あ、今笑った」

と私を指差した。

「え?」

「結城、見た?」

突然話を振られた結城先輩が眉をひそめる。

「何を」

「宮野ちゃんって、意外と笑う」

「……」

一瞬だけ結城先輩の視線がこちらに向く。

「そうか」

それだけ言って視線を逸らした。

なんだろう。

別に変なことを言われたわけではないのに、少しだけ居心地が悪い。

「なんだよ〜、その反応」

永原先輩が不満そうに口を尖らせる。

「別に」

「もっとあるだろ。『へぇ』とか『そうなんだ』とか」

「ない」

驚くほどの即答に永原先輩が盛大にため息を吐く。

「宮野ちゃん、この人ホントつまんないでしょ」

「永原」

「はいは〜い」

全く反省していない返事をしながら、永原先輩は楽しそうに笑う。
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