御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「べ、別に、深い意味はない……です」
「いや、ないわけなくないですか……?」
完全に、黎也くんの方が正論だ。きっと意味はあるけれど、私がうまく説明できないだけ。
「行こう、船」
「はい。それはもちろん、行きますけど……」
今度は私が彼の手を引いて、貸切で広々とした園内を歩いていく。
お互いに無言ではあったけれど決して険悪なわけではなく、甘くてくすぐったい空気がふわふわと私たちを包み込んでいた。
キスの理由は曖昧にしたままだったけれど、アトラクションやゲームで遊んでいるうちに、私たちは自然とまた打ち解けていた。
お昼になると園内のカフェで休憩がてらパスタやオムライスを食べ、また別のアトラクションへと移動する。午前中から遊んでいたので、夕方になる頃には結構体力を使い果たしてくたくただった。
冬至が近いので辺りが暗くなるのも早く、沈んだ太陽に代わって、園内のイルミネーションが辺りを照らしだす。
昼間とはまた違う、幻想的な遊園地の光景があちこちに広がっていた。色とりどりの光が織りなす夢のような風景の中を、黎也くんとゆっくり歩く。
明るい時より今の方が、不思議と彼とふたりきりだということを強く感じた。
「綺麗……」
白い息とともに、ぽつりと呟く。優しい目をした彼が、隣で私を見下ろしている。