御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「ごめんなさい。そんなに怖がるとは思わなくて」
「ううん。私も自分で大丈夫だと思っちゃったから黎也くんのせいじゃないよ」

 コースターから降りた直後、あまりの恐怖で私の脚がふらついていたので、しばらく歩いた先にあったベンチでひと休みすることにした。

 黎也くんが自販機で買ってきてくれたペットボトルの水をひと口飲むと、生きててよかった……としみじみ思う。目にはうっすら涙まで浮かんでいた。

「さてと。気を取り直して次行こっか。ゆっくり進む船とかどう? ジェットコースターから見えて気になってたの」

 ベンチから腰を上げ、次のアトラクションへ彼を誘う。黎也くんも勢い良く立ち上がった。

「癒し系ですね。もちろん行きましょう」

 私を怖がらせてしまったと反省する時はしょんぼりして、私が元気を取り戻したのを見れば、彼の表情まで明るくなる。

 素直でわかりやすい反応に、胸がキュンとする。

 遊園地にいる間は、彼に騙されているかも、なんて考えるのはやめたいな――。

「……ねえ、黎也くん」
「はい。どうしまし――」

 ベンチから歩き出してすぐ、私は彼の手をくいっと引いた。

 黎也くんの体が軽くこちらに傾いた瞬間、かかとを上げて背伸びをした私は、彼の唇と頬の境目くらいに、ちゅっと口づけした。

 すぐに唇を離して彼の反応を窺うと、黎也くんは頬を赤くして目を大きく見開いている。

 なにが起きたのかわからない、または、わかっているけど信じられない、そんな顔だ。

 私も彼に負けないくらい、赤くなっていると思う。

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