御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「美冬さんがリーシング部で仕事を教えてくださったから、黎也に後継者としての自覚が芽生えたそうですね。息子がお世話になり、本当にありがとうございます」
今日初めてお会いした社長夫人……黎也くんのお母様がうやうやしく私に頭を下げる。
黎也くんのくりっとした目元はお母さん似なのだなと思うくらいふたりはよく似ていて、お父様だけ少しタイプが違う。
お父様とは前から顔見知りだったけれど、キラキラ光るチェーン付きの眼鏡をかけた、目の細い優しげな紳士だ。
「い、いえいえいえ……! 黎也く……黎也さんはもともと仕事ができるタイプだったので、私がなにか教えたと言うよりは、スポンジのように勝手にこう吸収して成長していった感じで」
「なるほど、スポンジか。昔の黎也は目的もなくふわふわしていたし、ぴったりの表現かもしれんな」
上機嫌に笑ったお父様が、ワイングラスに口をつける。スポンジと言われた黎也くんは、少し複雑そうだ。
「それじゃ、俺の中身がなんだかスカスカみたいじゃないですか?」
「そんなことないわよ~。別館のリニューアルも黎也を中心に着々と準備が進んでいるんでしょう? 秋のオープンが待ち遠しいわ」
「それに関しては、ぜひ楽しみにしていてください! 私の担当であるアパレル関係のショップも、素敵なテナントがたくさん入る予定なので」