御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「お気持ちだけ受け取っておきます。……それでは」

 くるりと体の向きを変え、副社長に背を向ける。そして数歩歩きだしたところだった。

「あ、待って芦屋さん」
「今度はなんですか?」

 思わずきつめの声で応えながら振り向く。歩み寄ってきた副社長の手には、ベンチに置きっぱなしだった私のコーヒーのカップが。

「忘れ物。僕が飲んでもいいなら置いていっていいですけど」

 彼がそう言いながらカップを口元へ持って行こうとするので、慌てて駆け寄って奪うように回収した。

 冗談にしてもたちが悪い。そう思って彼を睨みつける。

「そんなに怒らなくても」
「怒りますよ。……基本的に男性不信なんです、私」
「男性不信?」

 しまった。余計なことを口走った。

「と、とにかく、失礼します」

 もう二度と、この公園をウロウロするのはやめよう。

 心に固く誓いながら、足早にその場を後にした。


< 17 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop