御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「ただ、才賀先生はこれまで日本国内での出店はことごとく断っています。説得するのは簡単ではないでしょう。そのため営業には僕も同行しますので、リーシング部の担当者はそのつもりでいてください」
「承知しました」
私の隣で谷村さんが返事をする。
モニターの画像が切り替わり、誘致が成功した際の集客数の見込み、それに伴うホテル利用者の増加予想をグラフ化したデータが表示される。
このプロジェクトがどれほど会社にとって重要なものなのか理解が深まるとともに、緊張感で身が引き締まる。
会議が終了し、リーシング部へと戻る途中、谷村さんが私の肩にポンと手を置く。
「今回の件は芦屋に担当してもらうつもりだ。プロジェクトの全体を通して私もフォローするつもりだが、芦屋なら才賀先生を落とせると信じているよ」
一緒に会議に参加するよう谷村さんから指示があった時から、もしかしたらそうなるのかもと覚悟はしていた。難しい仕事だろうけれど、その分やりがいがありそうだ。
「はいっ、頑張ります」
新人の頃の研修以降、テナントリーシングの仕事ひと筋でやってきたけれど、こんなに大きな案件を任されるのは初めて。
谷村さんの期待に応えたいのはもちろん、御門ホテルのいち社員として会社の役に立ちたい。
そうすれば、たとえ私生活で特定の誰かに必要とされなくても、人と繋がっている実感を得られるから。