御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

 御門ホテルでは間に仲介業者を立てず、ホテル内へ出店してくれるテナントと直接契約する方式を取っている。自社のブランドイメージを損なわないための戦略だ。

 初代の御門ホテルが開業したのは明治で、令和に至る今でも日本各地にその数を増やしている。外資系ホテルに宿泊客を取られてしまう国内企業が多い中、御門ホテルは常に業界トップの地位に君臨し続けているのだ。

 就職活動でホスピタリティ業界を志望していた私は、せっかくなら一流のサービスを学びたいと歴史も実績もある御門ホテルへアプローチを続け、その努力が実って入社に至る。

 新卒で会社に入ってから二年間は、研修の一環でホテルの様々な仕事を現場で経験した。その後本人の希望や適性などが考慮され、配属部署が決まる流れだった。

 研修中、私は御門ホテルがどうしても出店してほしいと熱烈にアプローチしていた企業との契約の場に居合わせたことがあった。

 ビジネスなので企業同士の利害が一致していたのはもちろん、それ以上に〝御門ホテルを利用する人々に喜んでもらいたい〟という熱意がお互いの担当者から(ほとばし)っていたため、無事成約に至って握手を交わす彼らを目にした時には、胸が熱くなった。

 その時の感動が忘れられず、私はリーシング部への配属を希望したのだ。

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