御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

 幸いなことにその願いは叶い、先輩に教えを乞いながら仕事をこなして半年も経てば一人前になれた。

 昨年『宅地建物取引士』――いわゆる宅建の資格も取得し、入社七年目となった現在は主任のポジションで、若手社員のまとめ役を担っている。

「ターゲットの年齢層はどちらも二十~四十代の女性。流行も大事だけど、一時的な人気が獲得できればいいわけでもないし……」

 今回、私はいつも以上に慎重に検討を重ねていた。

 というのも、ショッピングエリアや結婚式場のあるホテル別館は現在大規模な改装工事に入ったところで、一年後のリニューアルオープンに合わせてテナントも一新する。

 そこで万が一にでも『以前のショッピングエリアの方がよかった』なんて思われてしまったら、目も当てられないからだ。

「だからといって守りに入りすぎるのもなー……」

 腕組みをして椅子の背にもたれ、眉間に皺を寄せて画面を睨んでいたその時だ。

「――僕はこっちがいいと思います」

 ふいに背後から男性の声がして、にゅっと伸びてきた腕が画面上のブランド名を指さす。ビクッとして振り向くと、そこに立っていた男性は御門ホテル創業家の御曹司、そして副社長でもある御門黎也(れいや)だった。

 御門ホテルは海外進出もしているが、中でも高い人気を誇るハワイ島の『ハワイアンリゾート・ミカド』で、昨年まで総支配人を務めていた人だ。

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