御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
聞き返す私をその場に残し、副社長はテーブルを挟んで才賀先生の正面に腰かけた。
ドーナツを咀嚼しながら、才賀先生がじろりと彼を睨む。
「交渉は決裂しましたので、お引き取り願えませんか?」
「先生がわざとこちらを挑発なさっているのはわかっています。傍若無人に振舞うことで、弊社がそれに対しどういった対応に出るかを冷静に観察なさってる。自分の大切なブランドを扱うのにふさわしい取引先かどうか、判断するために」
そ、そうだったの? 私はてっきり、才賀先生は素でこのキャラクターなのだと思い込んでいた。
「ふーん。少しは私のこと調べているようだ」
「お褒めに預かり恐縮です」
「だからって、こちらの気持ちは変わりませんよ。御門ホテルへの出店はしない。以上」
才賀先生はそう言うと、ツンとそっぽを向いてしまう。
そんな態度を取られると『こっちだってアンタの店なんか願い下げよ……!』と感情的になりたくなるが、これは子どもの喧嘩ではない。私も冷静に自分の仕事を果たさなければ。
呆然と突っ立っていた私も副社長に加勢するようにソファに戻り、タブレットを操作すると、才賀先生の方へ画面を向ける。