御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「……なにが目的ですか?」
警戒心から、思わず副社長に疑いの目を向けた。
「えっ?」
「私、そんなことしてもらわなくても仕事は真面目にやりますし、他の面では副社長のお役に立てそうなことはありません。ですから、もし対価としてなにか要求しようとお考えでしたら、再考なさった方がよろしいかと」
きっぱり言い切って、毅然とした表情を作る。副社長は黙ったまま静かな目で私を見つめ、しばらくすると口を開いた。
「対価なんていりません。というか、芦屋さんと休日を過ごせるだけで僕は得をしたことになるので、それ以上なにか求めたりなんてしませんよ」
ただ口がうまいだけなのか、正直にそう思っているのか。副社長の穏やかな表情からは判断がつかない。
「まぁ、どちらにしろ才賀先生のところへもう一度訪問することは決まっているので、服は必要です。芦屋さんに断るという選択肢はないと思いますけどね」
そんな言葉を付け足されるとともに、ちらりと意地の悪い視線を送られる。軽く口角の上がった口元も相まって、彼が性悪な小悪魔に見えた。
最初から私に断る権利なんてなかったんじゃない……!
内心憤慨しながら、それでも彼の言う通り私には承諾する道しかなかった。
「わかりました。行きますよ……。節約家は基本休日ヒマなので、副社長のご都合のいい日にちで構いません」
「じゃあ、日曜日にしましょう。車でご自宅まで迎えに行きます」
さっきまでの小悪魔ぶりはどこへやら。無邪気で人懐っこい微笑みを浮かべた彼にそう言われると、どうしてか胸が騒がしくなった。