御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「あの、やめませんか? そういうの……」
「そういうの?」
「私が男性不信気味なのも、その原因もなんとなくおわかりになったでしょう? ですから、私なんかに構っても無意味です。副社長のことは上司として信頼していますが、それ以上の関係になるつもりはありません」
ハッキリ告白されたわけではないのだから、自意識過剰だと思われるかもしれない。
でも、それでいい。今は誰かに恋をするエネルギーなんてないし、このまま彼の甘い言葉に振り回され続けるくらいなら、いっそ嫌われた方が楽だ。
「――それでも、俺は美冬さんがいい」
すっかり投げやりになっていた私の耳に、彼の凛とした声が届く。
どこまでも真っすぐな彼の態度に、胸が詰まったような息苦しさを覚える。
心を揺らしてはダメだと自分に言い聞かせながら、絞り出すような声で彼に尋ねる。
「どうしてそこまで……?」
「理屈じゃありません。でも、他の人じゃダメなんです。だから……」
飾り気のない副社長の言葉は、一度傷ついてからずっと眠らせたまま使っていなかった、私の中の恋する器官をつつくように刺激する。
「彼の前で話した嘘を、本当にしませんか?」
「嘘って……?」
「俺が美冬さんの婚約者だという、あれです」