御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「……よく、わかりました」
「すみません。私の話で気分を悪くさせてしまって」
「そんなことありません。美冬さんという人を、今までよりも深く知れてよかった」
優しい声音に誘われるようにして、俯いていた顔を上げる。自然と絡んだ副社長の視線がいつもより甘い気がして、ドキンと鼓動が鳴った。
「少し前に、コンビニで会った時のことを覚えていますか?」
「コンビニ? ……もしかして、還付金詐欺の?」
あの時、私は谷村さんにお使いを頼まれて、自分では行かない高価格帯のコンビニを珍しく訪れていた。そして店内で、お年寄りの女性が詐欺被害に遭いそうだった所を間一髪助けたのだ。
そこに偶然副社長も居合わせていたのを思い出す。
「はい。あの時美冬さんは、自分のようになってほしくなくて、あの女性を助けたんですよね。信頼していた人からのお金に関する裏切りが、どれだけ人の心を傷つけるかを知っているから。美冬さんは人の痛みに寄り添える、強くて優しい人です」
「そ、それは買いかぶりすぎです」
「そんなことありません。改めて、あなたに惚れ直しました」
副社長がいつもの口説きモードに突入し、真に受けてはいけないと思いつつも胸がソワソワして居たたまれない。