御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「もう、わかりましたってば、黎也くんっ」
彼のしつこさに負け、私もとうとう折れた。名前を呼んでもらえた彼は、あからさまに嬉しそうな顔をする。
「なんだか昔に戻ったみたいで懐かしい。あの時美冬さんに出会えたから、今の俺があるんですよ」
「しみじみしないでください……紅茶飲んだら帰りますよ」
副社長、と呼ばなくてよくなったからだろうか。プライベートで彼に砕けた態度が取れるようになったのは収穫かもしれない。
いい子ぶっていたら彼の猛攻はかわせないから……。
「そうだ、婚約者ならクリスマスはデートしますよね? 今年のクリスマスは平日だから、二十日の土曜日とかはどうですか?」
「あの、私の話聞いてました? 派手な行動はしないって言いましたよね?」
「知り合いに会わないプランを考えます。俺が美冬さんと一緒に過ごしたいから」
さっきまで年下らしい無邪気さで私を振り回したかと思えば、今度は落ち着いたトーンで甘いセリフを吐く彼のギャップに、胸の高鳴りが収まらない。
副社長に心を占領されつつある自分に気づいていながらも認めたくはなくて、私は紅茶を飲み終えるまでずっと仏頂面を続けていた。