御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
父が、気まずそうな顔をして黙り込む。そういえば、俺の方からこんな風に意見するのは初めてかもしれない。しかし、自分は間違っていないと胸を張って言える。
「この際ですから言いますが、長らく続けてきた同族経営の見直しも必要だと考えています。血のつながりは関係なく、御門ホテルが大切にしてきた企業理念を守り、かつ次へ繋いでくれる後継者を見つけ、育成する。やがて僕が社長になった時には、そういった方針に変換して行こうと考えています。自分が結婚するかどうか、そして子どもを持つかどうかを、会社に決められたくはありませんので」
ひと息に言いきって、小さく息を吐く。
そして改めて父を見つめると、なぜか瞳を潤ませていたのでぎょっとする。
俺、なにかまずいことを言ったか……?
「黎也」
「は、はい」
「立派になったもんだな……。父さんは嬉しいっ」
ずずっと洟を啜った父に、拍手を贈られる。予想外の反応に困惑し、俺は首を傾げた。
「ええと……?」
「まだ会社に入ったばかりの頃のお前は、それほど仕事に熱意があったようには見えなかったから心配だったんだ。昔から会社を継ぐことを嫌とは言わなかったお前を、当然のように後継者として育ててきたが、もしかして親のエゴでしかなかったんじゃないかと……。でも、今のお前を見たら安心したよ」
父はひとりで感動し、うんうん頷いている。