御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
少し大げさだとも思うが、俺にも思い当たる節はあった。リーシング部で研修をするまで……美冬さんと出会うまでの俺は、親の敷いたレールを歩くだけの、半端な奴だったから。
彼女のおかげで、俺は自分の人生を生きられるようになった。だから今度は、俺が美冬さんの助けになりたい。
「後継者の件は、反対しないんですか?」
「ああ。私たち夫婦も、息子をひとりしか授からなかったからな。お前と同じような改革を考えてはいたんだ。役員たちにも折を見て話すところだった」
「……なるほど。そうだったんですか」
「孫の件も、息子のお前の前だからつい話してしまったが、デリカシーのない発言だったのはわかっている。二度と言わないから許してくれ。この通りだ」
父がデスクに両手をつき、深々と頭を下げる。反省してくれたのはわかったが、そこまでしなくても……。
「わ、わかりましたから頭を上げてください。彼女のことは、紹介できる時が来たらちゃんと会わせますから」
「そうか。お前が選んだ人なら間違いないんだろう。楽しみにしているぞ」
「はい」
今はまだ偽装の関係だし、美冬さんの不本意そうな態度も変わらない。
しかし、できるだけ早く父に約束した言葉が実現するよう、手を変え品を変え彼女へのアプローチを続けるつもりだ。