辣腕クールな脳外科医は、偽りの婚約者を甘く堕として妻にする
一瞬、心の中を読まれたのかと思ってドキッとしたが、涼花は自分の衣装を見せたかっただけらしい。
「ああ。みんなよく似合ってる」
そう言いながらも、沙耶から目が離せなかった。匠真と目が合って、沙耶がはにかんだ表情で目線を落とした。彼女の横でヒーコが「あら、嬉しい」と声を上げる。
「美魔女メイドがいるからか、ここ三日、男性のお客さまが多いんですよー」
ヒーコが笑って言った。
〝美魔女メイド〟なんて言葉、初めて聞いた、などと思いながら、匠真は店内を見回した。
席は八割ほど埋まっている。普段なら女性客のほうが多いのに、ヒーコの言うとおり、今日は男性客の姿が目立った。
そのなかには、最近になって見かけるようになった顔もある。スーツを着たビジネスマン風の男性や、大学生や大学院生のようなカジュアルな服装の男性だ。
(みんな、沙耶さんがプラチナに来てから、来るようになった客だ)
プラチナが繁盛するのはいいことだが、一方でおもしろくない気持ちになる。
「でも、沙耶ちゃんにコスプレしてもらうの、大変だったんだよ」
涼花がこそっと匠真にささやいた。
「どうして?」
「『こんなかわいい衣装は私には似合いません!』って言い張っちゃって。そんなことないのにね。誰かに嫌なこと言われちゃったのかなぁ。もしかしたら元カレとかに」
涼花の話を聞きながら視線で沙耶を探したら、彼女はトレイに水の入ったグラスと紙おしぼりをのせて近づいてきた。
「小早川さん、今日もテラス席にされますか?」
沙耶に訊かれて、匠真は首を横に振った。
「いや、今日は中にしておくよ」
「今日はちょっと風が強いですもんね。どうぞこちらへ」
沙耶は納得したように言って、窓に面したカウンター席に匠真を案内した。
「〝本日のランチプレート〟は〝仔牛のミラノ風カツレツ〟です。たっぷりのフレッシュサラダとパン、クラムチャウダーがついています」
「おいしそうだな。それとホットコーヒーをお願いします」
「ありがとうございます。少々お待ちください」
沙耶がにこりと笑って、カウンターの奥のキッチンに入った。手元は見えないが、肉叩きで肉をのばしているらしく、トントントンという軽やかな音が聞こえてくる。続いて衣をつけて肉をフライパンに入れると、ジュワッとこのうえなく食欲をそそる音がした。
沙耶がメインを作る横で、チエが大皿に副菜を盛りつけている。
その横で涼花はラテアートを描いていて、食べおわった客の会計はノリが担当し、空いた食器をヒーコが片づけている。
「ああ。みんなよく似合ってる」
そう言いながらも、沙耶から目が離せなかった。匠真と目が合って、沙耶がはにかんだ表情で目線を落とした。彼女の横でヒーコが「あら、嬉しい」と声を上げる。
「美魔女メイドがいるからか、ここ三日、男性のお客さまが多いんですよー」
ヒーコが笑って言った。
〝美魔女メイド〟なんて言葉、初めて聞いた、などと思いながら、匠真は店内を見回した。
席は八割ほど埋まっている。普段なら女性客のほうが多いのに、ヒーコの言うとおり、今日は男性客の姿が目立った。
そのなかには、最近になって見かけるようになった顔もある。スーツを着たビジネスマン風の男性や、大学生や大学院生のようなカジュアルな服装の男性だ。
(みんな、沙耶さんがプラチナに来てから、来るようになった客だ)
プラチナが繁盛するのはいいことだが、一方でおもしろくない気持ちになる。
「でも、沙耶ちゃんにコスプレしてもらうの、大変だったんだよ」
涼花がこそっと匠真にささやいた。
「どうして?」
「『こんなかわいい衣装は私には似合いません!』って言い張っちゃって。そんなことないのにね。誰かに嫌なこと言われちゃったのかなぁ。もしかしたら元カレとかに」
涼花の話を聞きながら視線で沙耶を探したら、彼女はトレイに水の入ったグラスと紙おしぼりをのせて近づいてきた。
「小早川さん、今日もテラス席にされますか?」
沙耶に訊かれて、匠真は首を横に振った。
「いや、今日は中にしておくよ」
「今日はちょっと風が強いですもんね。どうぞこちらへ」
沙耶は納得したように言って、窓に面したカウンター席に匠真を案内した。
「〝本日のランチプレート〟は〝仔牛のミラノ風カツレツ〟です。たっぷりのフレッシュサラダとパン、クラムチャウダーがついています」
「おいしそうだな。それとホットコーヒーをお願いします」
「ありがとうございます。少々お待ちください」
沙耶がにこりと笑って、カウンターの奥のキッチンに入った。手元は見えないが、肉叩きで肉をのばしているらしく、トントントンという軽やかな音が聞こえてくる。続いて衣をつけて肉をフライパンに入れると、ジュワッとこのうえなく食欲をそそる音がした。
沙耶がメインを作る横で、チエが大皿に副菜を盛りつけている。
その横で涼花はラテアートを描いていて、食べおわった客の会計はノリが担当し、空いた食器をヒーコが片づけている。