(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「なんで、今さらそんな言い方をするの……」


避けていたのもひどい態度をとっていたのも私自身なのに、なぜか自分だけが傷ついているような愁さんの口調に心の中で抱え込んでいたモヤモヤや鬱憤、葛藤が一気にはじけた。


「ドレスの色に深い意味はないんでしょ? ふたりで会っているならそれでいいじゃない、もうこれ以上振り回さないで。お願いだから放っておいて」


感情的になって一方的に気持ちをぶつける私はとてもみっともない。

これまでの自分なら必死に理性を総動員させて抑えてこれたのに、どうしても今はできなかった。


「これ以上、あなたを好きになりたくない……」


弱々しく漏れた本心は掠れて、想いとともに涙がこぼれ落ちる。

この状況で泣くのは卑怯だし、泣きたくなんかない。

泣いたところでこの想いが成就するわけじゃないのに、張り裂けそうな胸の痛みの癒やし方がわからない。


「無理だ、好きだからこそ放っておくなんてできない」


耳に届いた声に、呼吸が止まった気がした。


「今、なんて……?」


「沙和が好きだと言った」


目を見張る私をなだめて言い聞かせるように、もう一度ゆっくり口にする。

そっと骨ばった指が頬に触れ、顎へと滑っていく。
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