(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
距離をとるため彼の胸を力いっぱい押すがびくともせず、愁さんは再び唇を重ねてくる。

強く腰に腕を回され、先ほどより長いキスが続き涙が滲む。

呼吸すらままならず背中にしびれにも似た感覚がはしる。

グッと押しつけられた身体には隙間がなく、何度も角度を変えてなにかを訴えるように口づけられる。

私の力が抜けたのがわかったのか、ゆっくりと話しかけるように穏やかなキスが数回重ねられる。

軽く下唇を食まれ、やっと解放されたときには、肩を上げて息を大きく吸ってしまった。

相変わらず腕は腰に回ったままで、ドクドク鳴り響く鼓動がうるさくて痛いし、足に力も入らない。

さらに彼の行動の意味も理解できない。

呼吸を整えるため大きく息を吐いた私の首筋に彼の長い指が触れ、肩がピクリと跳ねた。


「俺は沙和と離れるつもりはない」


首筋に唇で触れながらつぶやく低い声に、心臓が壊れそうなくらい大きな音をたてた。

頭を上げた途端、鋭い彼の視線に射貫かれる。


「なにを、言って……」


絞り出した声は情けないほど震えていた。


「離さないし、離れたくない。あの日からずっと願ってきたんだ」


紡がれる物騒な物言いに瞬きを繰り返す。


「どうして避ける? ずっと電話にも出ないしメッセージも返事がない。俺が今までどれだけ心配して、どんな気持ちでいたと思ってる?」


話したくないのに、答えたくないのに、逃げ場がない。
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