(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「話もあるし、今日はずっと俺と過ごして」

愁さんは明日の午後から仕事らしい。

甘い懇願にあらがえずうなずいた途端、愁さんは近くを走るタクシーを手早く止めた。

そのままふたりで乗り込んで私の自宅マンションに向かう。

運転手に待機を頼み、自宅へと私の手を引いた彼に宿泊準備を促された。

その意味をわからないわけではなく、恥ずかしさはあっても迷いはなかった。

室内に初めて入った彼が物珍しそうに周囲を見ている姿には正直慌ててしまったけれど。

準備を終え、再びタクシーに乗り込む。


「どこに行くの?」


「俺の家に連れて行こうか迷ったけど、今日はどうしても行きたい場所があるから」


そう言って、彼はふわりと口元を綻ばせる。


「沙和、俺のところに来る?」


「え?」


問われた意味がきちんと理解できず、問い返す。


「これ以上離れていたくないから、俺の家に引っ越して一緒に暮らしてほしい」


突然の誘いに、返答に窮する私の頬に長い指で触れてくる。


「俺は沙和に関しては短気だから早めに決断して。もちろん引っ越す前提で」


耳元でささやかれ、鼓動が暴れ出す。


「か、考えるから」


やっとの思いで告げ、頬の火照りを冷ましている間にタクシーが停車した。

車を降りた場所は、以前私が逃げ出した高級ホテルだった。

なんとここは板谷ホールディングスが経営しているらしい。
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