(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
カフェを出た私たちはゆっくり話をするため、近くの美術館に向かう。

真夏の夜ほど湿度のない風は心地よく、夜も更けてきたせいか人気は少ない。

愁さんが慣れた仕草で美術館の門扉を開け、庭園の奥へ足を進め、ベンチに並んで腰をおろした。


「立花さんには少し前から千奈との婚約の相談を受けていたんだ」


足の上で両手を握りしめた彼が口火を切った。


「きちんと説明できなくて悪かった。個人的な話だったし、もう少しふたりの仲が落ち着いてから話すつもりだった」


立花さんと愁さんは古くからの知り合いなうえ、千奈さんからも相談されており、愁さんはふたりの仲を取り持つような働きかけをしていたという。

とはいえ、愁さんと立花さんは出張なども多く多忙で話す機会があまりとれていなかったそうだ。


「俺のせいで、色々巻き込んですまなかった」


「巻き込まれたなんて思ってない。正直心配はしたけれど、いつかきちんと話してくれるって信じていたから」


少々不安にかられた点は否定できないが、彼を疑う気持ちは微塵もなかった。


「ありがとう」


そう言って、愁さんは大きな手で私の肩をそっと引き寄せる。
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