(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
今日のパーティーにはすずも招待されていて、もう少しで到着すると連絡があった。

頼子さんと千奈さんが自分ひとりでは絶対にできないようなオシャレな髪型とメイクに仕上げてくれた。


「はい、沙和ちゃん」


頼子さんに鮮やかな青色をしたフレンチノースリーブのワンピースを渡された。

胸元の高い位置で切り替えられ、金色の小さな刺繍が散っている。

スカート部分は幾重にも薄い生地が重ねられ、優しい青色のグラデーションを描いていた。


「あの、これって」


素敵なドレスと色に思わず声をあげた私に頼子さんが口元を綻ばせた。


「今の沙和ちゃんはこの色の意味を知っているでしょう?」


「ドレスではなく、色が重要なの。青とゴールドは板谷ホールディングスのイメージカラーよ。親族以外の未婚女性がこの色のドレスを着て板谷の人間にエスコートされれば、“正式な”婚約者という意味になる」


以前に聞いた同じセリフを千奈さんが口にする。

でもあのときとは受け止める気持ちが全然違う。

ワンピースを抱える指が微かに震えた。


「今日は内輪とはいえパーティーでしょ? このワンピースを沙和ちゃんに渡してほしいって愁に頼まれたの」


「愁くん、ワンピースのデザインや生地をずいぶん悩んでいたそうよ。どうしても今日、この色の服を贈りたかったんですって」


穏やかな千奈さんの声がじんわりと心の奥深くに染みこんでいく。

驚きと嬉しさ、幸せが一気に押し寄せ、胸が震えてうまく言葉を発せない。
< 138 / 149 >

この作品をシェア

pagetop