(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……告白したの?」


彼女を怖がらせないよう、極力優しく尋ねる。


「ううん、まさか。見ていただけ、本当、情けない。私なんて、恋愛に向いてない」


つたない口調で話す姿は儚さと悲しみに満ちていて、思わず指を伸ばし涙を拭った。

こんな行動は初めてで、自分でも戸惑いを隠せない。

けれど今は彼女の涙を受け止めることで頭がいっぱいだった。

まるで彼女の心の痛みが俺に移ったように胸の奥がざわめいて落ち着かない。


「でも課長……、幸せみたい、よかった」


失恋相手への素直な祝福になぜか心の奥がモヤモヤする。

忙しい感情の変化にうまく対処できない。


「……大丈夫、君だけを大事に想う人がこれから絶対に現れるよ」


「ふふ、嬉しい……ありがとう……」


柔らかな声と視線に、胸の奥から言葉にならない初めての感情がこみ上げてきた。

そのまま再び目を閉じた彼女に引きつけられたように視線を外せない。

ひとりでに乱れ、速まっていく鼓動の意味が理解できない。


守りたい。


泣かせたくない。


唐突に湧き上がる感情のまま、そっと彼女の体を起こさないよう気をつけて腕に抱きかかえた。
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