(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
姉の友人を放置できないという、少し前と同じはずの理由が少し違ってきているのには気づかないふりをする。

いつもの俺なら、いくら親族の知り合いとはいえこんな厄介事は引き受けない。

秘書か誰かに連絡し、冷静かつ事務的で最低限の対応をするのみだ。

しかも彼女とは初対面だ。

なのに今、俺は誰にも彼女を任せたくないと思っている。

自分の不安定な感情に心を揺らしつつも、今の自分がなすべきことを即座に考える。


「……俺を、選んで」


腕に横抱きにした存在にささやく。

発した言葉に疑問は持たず、むしろ納得した。


――きっと俺はこの瞬間、恋に落ちたのだと。


名前以外は知らない、しかも酔って眠っている女性に恋をするなんてありえない。

いつもどおりの冷静なもうひとりの俺が分析と否定を繰り返すが、俺の心の奥深い部分は揺るがない答えを導き出していた。

短い時間に交わした会話のなかで彼女の真っすぐな気質は知っていた。

失恋してつらいはずなのに相手の幸せを願う優しさ、お人好しぶりも。

恐らくそのせいで今まで傷ついてきたのだろう。

その心の痛みすべてを引き受けたいと衝動的に願った。
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