(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「――愁さん?」


柔らかい声で名前を呼ばれて、大切な婚約者に視線を向ける。

沙和の後ろには、俺たちが出会ったベンチが見えた。

祖父がよく話してくれていた女性が沙和だとあの夜はすぐ気がつかなかった。


「どうかしたの? もしかして疲れた?」


たくさん準備してくれていたからと眉尻を下げて心配する沙和の細い指をとって指先に口づける。

途端に頬を染める沙和は本当に可愛らしい。

少し離れたカフェからは今もまだキッズカフェのプレオープンパーティーを楽しむ声が響いている。

俺と沙和は出会いの場を久々に堪能するためふたりきりで抜け出していた。


「大丈夫、出会った日を少し思い出していただけ」


「……あのときは本当にお世話になりました」


照れたようにはにかむ姿に愛しさがこみ上げる。

出会ったあの日から俺は沙和と会話を重ね、色々な姿を見て、ますます惹かれていった。

俺の言葉足らずと配慮不足から多くの誤解やすれ違いがあったけれど、今、沙和は俺の婚約者としてそばにいてくれている。

沙和が真っすぐ俺を見つめ、微笑みかけてくれるたび、俺の心は愛しさと幸せに満たされる。

恋愛に興味もなく、恋なんてあやふやな感情を信じてもいなかった俺を沙和が変えた。

俺自身は幼い頃から植物以上に興味を引かれるものはなく、心から愛しく、欲する存在に出会うなんて考えもしなかった。

きっとこのまま淡々と人生を歩んでいくのだと思っていた。


いつか、話せるだろうか。

あの日、この庭園で俺は最初で最後のひと目惚れをしたと。

そして、君に贈る愛している以上の言葉を今後の人生で見つけたいのだと。


                             END

最後までお読みいただき、ありがとうございました❀❀
新たに書き加えました愁視点を楽しんでいただけましたら幸いです。
< 149 / 149 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:65

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る

総文字数/37,688

ファンタジー66ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
キラナ・フォーリ   二十二歳  セレスタ帝国皇宮治療院薬師 × アレン・トゥーイッラ 二十五歳  セレスタ帝国魔術騎士団団長 トゥーイッラ公爵家長子 銀髪に紫と琥珀の目、希有な治癒の力をもつ秘されたメリハ族の直系――それが私。 メリハ族の直系は生まれたときから〝運命の伴侶〟が決まっている。 私の紫の目は、まだ見ぬ伴侶の色。 出現した手首の痣は、運命の強制力であなたを縛りつける。 「――これは非公式な皇帝命令による政略結婚だ」 美しく冷たい紫の両目は私を明確に拒絶する。 「俺たちの間に恋情など個人的な感情は存在しない」 長い指は触れるのを拒否するように強く握りしめられたまま。 私がセレスタ帝国最重要保護対象の、メリハ族でなければ。 あなたが〝運命の伴侶〟でなければ。 あなたが想う人との未来を邪魔するつもりはなかった。 「……君は、俺が守る」 あなたに恋情は贈れない。 ――私にその資格はない。
婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする

総文字数/102,971

恋愛(オフィスラブ)185ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
湯沢蕗(ユザワ フキ) 28歳 スターブルー・ライト航空株式会社  グランドスタッフ × 向琉生(ムカイ ルイ) 32歳 スターブルー航空株式会社 副操縦士 「ーーじゃあ、俺と結婚しようか」 さらりと言われた言葉。 躊躇いのないプロポーズが私の心を乱す。 「大切にすると約束する」 指先に落とされた、彼の薄い唇の感触に胸が詰まった。 私は実家のカフェを守るため、あなたは数々の迷惑行為対策と縁談よけに。 お互いの利益のための契約結婚。 『――もう十分がんばっているでしょう』 名前も知らない、三年前に偶然出会った男性。 孤独と不安、さみしさ、負の感情に押しつぶされそうになっていた私を救ってくれたーーきっと、訓練生。 あの男性があなたであるはずがないのに。 どうして、同じ言葉を口にするの? 名前を呼ぶ声に。 触れる指先に。 伝わる体温に。 心が壊れそうな音を立てる。 ……この想いを、どう表現していいのかわからない。 ☆★☆★☆★☆ こちらの作品はエブリスタ様でも投稿しております。
独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
  • 書籍化作品

総文字数/106,957

恋愛(オフィスラブ)174ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
新保彩萌(27歳) 蔦製菓株式会社 営業課 勤務 × 梁瀬瑛(32歳) 梁瀬グループ御曹司 「俺がお前を選んだ」 ……ウソつき。 あなたは由緒正しい梁瀬財閥の御曹司。 見惚れるほどの美麗な容貌に優雅な所作と優秀さを併せ持つ、女性たちの憧れの存在。 遠縁とはいえ、私とは別世界の人。 言葉をかわしたことすらない。 それなのに。 古くからのしきたりに則り、嫁ぐよう言い渡された。 あなたが愛するのは行方不明になった元婚約者だけ。 私たちは周囲を欺く契約夫婦。 愛の言葉も。 信頼も。 なにもない結婚生活の始まり。 「お前を愛することはない」 プロポーズ代わりに贈られた、拒絶。 それでもあなたは、一族の繁栄のため今夜も私を抱く。 ねえ、なぜキスをするの? どうして優しく抱きしめるの? 私はお飾りの妻。 勘違いも期待もしない。 あなたは私のものにはならない。 わかっていたのに。 どうしてーー あなたを愛してしまったんだろう。 ♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪ たくさんの感想とレビューをくださって、本当にありがとうございます! とても励みになり、大切に読ませていただいています! 改めまして、チャマ様、永遠様、鮭ムニエル様、さとみっち様、菊梛様レビューをありがとうございます。 プク様、りほ様、さな様、ひめか様、感想をありがとうございます。 ♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪ この度、こちらの作品を『身代わり初夜で懐妊して――冷徹社長は、ママになっても溺愛を絶やさない』に改題、ベリーズ文庫様より書籍化していただき、1月10日に発売していただくことになりました(⁠✿⁠^⁠‿⁠^⁠) 文庫版は内容を大幅に変更して書かせていただいております。 よろしければぜひ、読んでいただければ幸いです❀✿ ♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪ この度、こちらの作品を『独占愛~冷酷御曹司の不器用な溺愛〜』に改題、めちゃコミックオリジナル様からコミカライズしていただき、2月27日より配信開始していただくことになりました! 作画者様 コタツ様、構成 やた様·安部ナヲン様、原作 円山ひよりです。 こちらは投稿作品、文庫本とも違った内容になっております。 よろしければ、ぜひ読んでいただければ嬉しいです。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop