(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……模擬挙式、ですよ」


必死に平静を装って言い返す。

私の声は震えていないだろうか。


「本当に沙和は手強いな。このまま独り占めをしていたいけど、そろそろ撮影に行こう」


「あの、私……会社にもなにも言っていないのですが……」


商業的な写真ではないかもしれないがPR用のモデルだなんて会社に知られたら、お互いに困った事態にならないだろうか。


「大丈夫。沙和の上司の許可をとってあるし、できるだけ顔が写らないカットにするから」


さすがの根回しに安堵とともにため息が漏れる。

以前から計画されていたのなら、教えてくれればいいのにと恨み言がこぼれそうになる。


「 “可愛い妻”を見せびらかしたい俺としては少し残念だけど」


「なにを言って……」


「沙和の失恋相手に、沙和はもう俺のもの、って見せつけたい。綺麗なドレス姿もメイクも全部俺のためだって」


手の甲でそっと頬をなでられて、背中に甘いしびれがはしる。


「なんで……」


「俺は沙和に一度も“片想い”されてないから。でも、それ以上に俺が沙和を想うから覚悟していて」


甘い宣言と妖艶な眼差しに息をのむ。

とっさに返す言葉が見つからず、ただ高鳴る胸の鼓動を持て余していた。
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